【ご質問】
羽田様(仮名)   鳴門市在住

【本文】

歯周病の事で相談があります。

病院で歯周病と診断されています。

1年前に奥歯が1つ動揺がありました。レントゲンを撮ってもらったんですが、根はまだしっかりしているのでそのままでも大丈夫でしょう、と言われました。

今回、同じ歯のかぶせものが取れたので持っていくと、「虫食いがあり、結構グラグラしてますね。食事のとき引っかかったりしませんか???
今回はかぶせるだけにして、ギリギリまで様子みてみましょう。最悪抜歯になるかもしれません」と言われました。

それで、次は半年後に定期健診に来てください。と言われたのですが、このまま放置しておいて大丈夫でしょうか?

診断結果は
・プラークや歯石の付着(あり)
・歯周の炎症(あり)
・歯の動揺(あり)
・歯周ポケット[4㎜以上](なし)
でした。

抜歯という言葉にすごく落ち込んでいます。
どうかよろしくお願いいたします。

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【回答】

羽田様

メール相談ありがとうございます。
カマタ歯科クリニック 院長 鎌田 賢介でございます。

羽田様、1年前から奥歯の動揺があり、その後何度も病院に通っていて経過を見ていらしゃったようですね。

抜歯を避けたいが為に治療に通っていたのに、急に抜歯をするかもしれないと告げられたのは全然予想もしていなかったのでかなりショックであったのは想像できます。心が痛みます。
羽田様からのメールでは奥歯の部位は特定出来ませんが、その歯についてかなりの情報を書いて頂いていたので判断はある程度下せると思います。

多分この歯は残せる可能性が高いと思われます。

というのも羽田様のこの歯に関しては適切な歯周病治療が行われていないように思われます。
少し長くなりますが、当院での歯周病治療の手順をお話ししますね。

まず来院された場合、症状をお聞きします。
そのあと当該部位とお口の中全体のレントゲン写真をお撮りします。
次に、顕微鏡で歯周病菌の有無を確かめ、もし感染していたら薬にて除菌致します。
そのあと、徹底してプラークコントロール(歯ブラシの使い方や癖を治します)や、歯石除去(専門の歯科衛生士があたります)を行います。

この時点でかなり歯ぐきの炎症はなくなります。

それにともなって、出血や腫脹が改善されます。
歯の動揺もある一定量以上骨が吸収されていなければ、収まります。
そして、その歯をを固定します。要するに、歯を安静にします。

ここから歯ぐきの下にある歯石を、場合によっては麻酔を使いながら徹底して取り除きます。
そしてそれが終わったら、ドクターと衛生士で再評価を行いもし必要であれば簡単な小外科手術を行い、ポケットの中の不良肉芽や、歯の根っこにへばりついた歯石を徹底して除去します。
そして、プラークコントロールをしながら経過を見ていきます。

この様に、段階を踏んで歯周病治療を行うことによってかなりの確率で歯は残せます。

また最近では、骨を再生したりの再生医療もどんどん進歩してきているのでこの方法を用いることもあります。

一通りの治療が終わったら、3ヶ月に1度、定期検査にお越し頂いて、

  1. 顕微鏡を使って、歯周病菌に再感染していないかチェック
  2. プラークコントロールが正確に出来ているかどうかチェック
    (菌の塊であるプラークは、最初はチーズくらいの硬さですが、3ヶ月すると歯石へと変化し、その名の通り歯ブラシでは取れない硬さになります。そうなる前にコントロールすると非常に楽なので3ヶ月に1回の定期検査を行います)
  3. 新しい虫歯が発生していないかチェックを行います。
  4. 咬合(噛みあわせ)の調整を行います。(歯周病が進行している場合、噛み合わせの不調があると急激に悪くなることがあるので必ずチェック致します)
  5. 他の病気が併発していないか(糖尿病や腎臓病)のチェック
    もし併発していた場合、歯科的対策を行います。

以上が当院での大まかな歯周病治療の流れになります。

羽田様の奥歯の状態を文面でお伺いした限りでは、どうも適切な歯周病治療が行われていないように思われます。
ですから、上記のような治療を行えばかなりの確率で当該歯は抜かなくて済むと思われます。
このまま放置をしておくというのは抜歯になるのを何もしないで待つということです。
もし最終的に同じ抜歯になるとしても、歯周病治療をきちんと受けたうえでどうしても駄目だと納得された上で、抜歯されてはいかがでしょうか?

なるべく早く適切な歯周病治療を受けられることをお勧め致します。

以上簡単ではありますが、私見を述べさせて頂きました。

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