喫煙と歯周病の相関関係
歯周病は基本的には細菌感染による炎症性疾患ですが、その進行を促進させたり憎悪させる様々な要因があります。これらの要因を危険因子といい、局所的因子と全身的因子があります。
ここから私たちの日常臨床において特に関わりの深い危険因子を取り上げ歯周治療までを説明しましょう。
喫煙と歯周病の相関関係が、近年の欧米の研究で明らかにされています。
・喫煙者の歯周炎は非喫煙者の歯周炎よりも重度
・喫煙の累計本数が増加すると重症度が増す
・禁煙すると歯周組織に改善が見られる
・歯周治療の効果は、非喫煙者より喫煙者のほうが著しく低い
新潟市開業医 石井正敏先生より提供
たばこ産業の「平成19年全国たばこ喫煙者率調査」によると、成人男性の平均喫煙率は40.2%でした。これは、昭和40年以降のピーク時(昭和41年)の 83.7%と比較すると、41年間で43.5ポイント減少したことになります。年代別にみると、急激な喫煙率の減少傾向が見られる60歳以上は27.8%で、ピーク時(昭和41年)より50.2ポイントも減少しました。また、平成19年の喫煙率が一番高い年代は30歳代で47.8%でした。
厚生労働省の最新たばこ情報より引用
タバコのニコチンによる作用で歯周病が悪化します
- 血管を収縮させる作用があります。そこで歯肉が炎症を起こしても出血が抑えられるので、気づかないうちに病状が進行してしまいます。
- 歯根の露出したセメント質とよく結び付くため、 ※1スケーリングや※2 ルート・プレーニングなどの歯周治療の効果を台無しにしてしまいます。
- 免疫機能を低下させ、歯周病への抵抗力も下がるので、間接的に歯周病を悪化させます。
※1:スケーリング 歯の表面の沈着物を取り除く治療
※2:ルート・プレーリング 歯根面に浸透した有害物質を取り除き滑らかにする治療