健康雑誌「わかさ2010年7月号」で紹介された「革命的歯の寿命延ばし術」、もうお読みになりましたか??

5月16日発売の「わかさ7月号」の大特集 「歯の激痛・歯周病も虫歯も退き強くかめた!革命的歯の寿命延ばし術」 、大好評のようです。別冊付録には、「歯周病の90%が飲み薬と歯磨きだけで劇的改善」というタイトルで歯周内科治療が、全国468医院のリストつきで大きく取り上げられています。

雑誌でも取り上げられているように、歯周病が感染症であるとこはもはや常識となり、「歯周病は薬で治す」ことが常識となる日も近いと思います。

ただ、ここで注意が必要なのは、「人間は怠惰で楽を求める」という厳然たる事実です。

私が毎日の診療で遭遇する「困った患者さん」たちに必ず言うことは、「治すのは薬ではなく、皆さんの体ですよ」ということです。「薬」を万能薬と勘違いして、もっとも大切な「免疫力を高める」ことと「自浄作用を維持する」ことに無頓着な患者さんは、どんなに強力な薬を使っても治りません。

そこで、今回は人間の持つ「免疫力」について考えてみました。

以前は「歯周病は老化が主な原因」といわれていました。確かに加齢変化としての歯周病も無いとは言えないのですが、実は加齢そのものが問題ではなく、免疫力の低下と自浄作用の衰えが主な原因です。

年齢不相応のライフスタイルや、長時間労働、様々なストレスなどが要因となり、どうしても免疫力が低下し、また、それらに起因する様々な二次的要因で、口腔内はもちろん、お腹の中や皮膚、粘膜などの自浄作用が低下します。こういう状態のまま、「歯周病=感染症」という硬直的な考え方で治療をすると、どなたの体の中にもいる「善玉菌」や「いないと困る悪玉菌」までもが死んでしまったりして、全くお薬が効きません。このような場合は、まず自然治癒力を高める治療法、あるいは生活改善療法が必要になります。

これらのことは全ての「病気」に言えることですが、とりわけ歯周病は「粘膜疾患」という側面もありますので、免疫系のバランスを崩すと、本来は「極めて強い回復力を持つ」粘膜の回復力が低下します。

難治性の歯周病を患っている患者さんの多くが、ストレスや心労で心身の負荷が大きいように思えます。この結果、交感神経が興奮状態となり免疫力は低下します。ですから、まずライフスタイルの改善を基本に、漢方薬などを併用して自然治癒力を高めることが大切です。

昔に比べれば、あらゆる生活シーンが衛生的・健康的になったのに、「免疫力と自浄作用の低下」が原因で、アレルギー疾患や自律神経疾患などの現代病は増えていると言われています。これらの原因は、なによりも年齢不相応のライフスタイルや、長時間労働、様々なストレスです。まずは「免疫力と自浄作用を高めるライフスタイル」を確立することが、「歯周病は薬で治す」ための早道です。