女性には男性とは異なった遺伝的背景やホルモンの相違があり、ある種の歯周病は女性に多く現れます。
◆女性ホルモンの影響
思春期や妊娠期、および月経時にしばしばみられる歯肉の著しい炎症症状や歯肉の増殖性変化は、血液循環中の女性ホルモンの濃度が上昇し、歯肉溝に到達することで誘発されます。
同じことは、経口避妊薬を用いている女性、ステロイドホルモン、エストロゲン、プロゲステロン誘導体を含む薬剤を使用している患者にもみられ、動物実験でも裏付けられています。
歯周病のケアは思春期の頃から始めましょう。この時期には初潮を向かえ、月経のたびに歯肉に炎症が起こりやすくなります。口の中に痛み、違和感を感じたり、口臭が気になる場合もあります。ご両親は娘さんに対し、念入りなブラッシングの必要性や食事に対する配慮などを、しっかりと伝えてください。何よりもご本人は一人で悩まずに、ご家族や歯科医にご相談下さい。
妊娠中は、妊娠性歯周病にかかったり、虫歯が増えたり、妊娠性エプーリス(良性の腫瘍)ができたりと、口の中のトラブルが多い時期です。妊娠中は「つわり」を繰り返す為、口腔内が不衛生なることも多く、口の中のPHが酸性になりがちになり、歯肉炎が悪化する傾向にあります。もともと歯周病である方は、妊娠中は歯周病がきわめて悪化しやすい時期なので、口腔内をいつも以上に清潔に保つよう心がける必要があります。また、妊娠に備え歯の治療を終えておくのが理想的です。
日頃から口の中を清潔に保ち、むし歯や歯肉の気になることがあったら、治療をすませておくことが大事です。定期的な歯科検診を行うことや、かかりつけの歯科医院でブラッシングの指導を受けたり、歯の歯石除去をしたりすることも大切なポイントです。
歯みがきをするときには、必ず鏡を見ながら「みがき方」を意識するときれいにみがけます。歯ブラシも自分にあった歯ブラシを選択し、刺激の少ないものがお勧めです。もちろん、最新の技術が搭載されている音波振動歯ブラシなども効果的です。
◆骨粗しょう症
骨組織の密度が低下して骨に鬆が入ったようになり、骨折し易くなる状態を骨粗鬆症といい、閉経期以降の女性に多くみられます。
骨粗鬆症は歯槽骨にもみられ、抜歯後の歯槽堤の吸収は、骨粗鬆の度合いがひどいほど速く重度になる傾向があります。
これに喫煙の要因が加わるとさらに促進されます。
=骨粗鬆症を防ぐには=
- カルシウムの摂取を心掛ける
- 日光浴をしてビタミンDの摂取を心掛ける
- 1日8,000歩程度を目標にしたウォーキング
- アルコール、コーヒーは少なめに
- 喫煙者は禁煙する