HbA1cと歯周病
糖尿病とインスリン抵抗性
糖尿病とは、ブドウ糖が血液中に増加した状態です
通常、ブドウ糖が増えるとインスリンが出てきて合図を送り、ブドウ糖を血中から細胞内に取り込む命令を出します。この命令を受けて、糖の運び役(GLUT4)がブドウ糖を血中から細胞内に運び込んでいるのです。
しかし、2型糖尿病では血中にインスリンが存在していても十分な作用が発現出来ません。これをインスリン抵抗性といい、ブドウ糖の取り組みシステムを邪魔する炎症性たんぱく質(TNF-α)が増えた結果起こります。
(徳島県 徳島県歯科医師会 のパンフレットより引用)
HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)とは
血中ブドウ糖量を表す値(%)で、血中にあるブドウ糖と結合したヘモグロビンの量を測ったものです。HbA1cは現在から過去1~2ヵ月間の平均血糖値を表現しています。
糖尿病のかたではHbA1cを1%低下させることができれば、糖尿病合併症の発生率も大幅に低下するといわれています。
炎症としての歯周病
歯周病とは、歯周ポケットに存在する歯周病細菌の感染に対して、周囲血管が拡張し細菌をやっつける物質や炎症性たんぱく質(TNF-α)を放出するといった生体の炎症反応です。
その結果、目に見えるような歯肉の腫れ・出血、歯周ポケットの出現、歯を支える骨の破壊といった現象が現れます。
(徳島県 徳島県歯科医師会 のパンフレットより引用)
歯周病がそんなに影響するの?-見逃せない理由-
歯周ポケットは、1本ずつの歯の周囲に発生するため、すべての歯に5~6mm程度の歯周ポケットがある場合、細菌と接する面積は自分の手の平と同じくらいになります。
この広い部分で炎症が発生し、ここからTNF-αが放出されていることになります。
種々の関係機関で歯周病と糖尿病の関係が報告されています
歯周病と糖尿病の関係について以下のような報告があります。
歯周病放置でHbA1c悪化!
2型糖尿病患者を、重度歯周病と中等度以下の歯周病との2群に分けて、2もしくは3年後のHbA1cの値の変化について調べた。その結果、中等度以下の歯周病の人はHbA1cが低下したのに対し、重度の歯周病の人では放置するとHbA1cが増加し、血糖コントロールが悪化することがわかった。
(徳島県 徳島県歯科医師会 のパンフレットより引用)
歯周治療で血糖コントロール向上!
2型糖尿病患者を、歯周病治療を行った群と、行わなかった群に分け、血糖値コントロールの状態について調べると、歯周病治療を行った群の方がHbA1cが大きく減少し、歯周病治療により糖尿病の治療効果が上がることを示した。
(徳島県 徳島県歯科医師会 のパンフレットより引用)
歯周病治療でTNF-αもHbA1cも低下!
2型糖尿病患者(13名)に対して歯周治療を1ヶ月実施し、治療前後でポケット内の細菌数、血中TNF-α、HbA1cを比較した。その結果、いずれも治療後に有意に低下した。
これは、歯周治療によってポケット内の細菌が減少し、歯周組織の炎症が改善された結果、TNF-αの放出が抑制され、その結果インスリン抵抗性改善によりHbA1cが改善されたことを示している。
(Iwamoto Y et al,J Periodontal,72:774-8,2001 より引用)
(徳島県 徳島県歯科医師会 パンフレットより引用)